【韓流コラム】ロケ地②:龍仁大長今パーク:イ・サン、奇皇后、オクニョ、100日の郎君様、不滅の恋人、ヘチもみんなここで撮影!
「イ・サン」「奇皇后」などMBCの韓国時代劇のオープンセットである撮影場「龍仁大長今パーク」は、最近では他局の時代劇の撮影場としても利用されている。現地を訪れて過去の名作から新作まで韓国時代劇の足跡をたどった。以下で紹介するドラマは、タイトルクリックで作品詳細と予告動画案内ページにジャンプできる。
また、「龍仁大長今パーク」の基本情報は【韓国時代劇撮影場・オープンセットまとめて紹介!】で。
「龍仁大長今パーク」は、ソウルのお隣、京畿道(キョンギド)・龍仁(ヨンイン)にある。車で1時間半くらい。韓国テレビ局の中でも時代劇のヒット作を多数送り出しているMBCのドラマ撮影セット場だけに、ここで撮影されたドラマは驚くほど多い。→「龍仁大長今パーク」で撮影された主な作品一覧
かつては一度使用されると廃棄されていたセットも、広大な「龍仁大長今パーク」では、継続して使用できるよう保存されており、ドラマごとに手を加えたり小道具などを工夫したりして時代や国に合わせて対応している。以下のパーク内の地図①~⑫の順にエリアとそこで撮影されたドラマを紹介しよう。
「龍仁大長今テーマパーク」
公式サイトより
①「宮廷女官チャングムの誓い」オープンセット
実際に「宮廷女官チャングムの誓い」の撮影が行われたのは「大長今テーマパーク」。施設老朽化のため2011年末に閉鎖され、セットの一部を「龍仁大長今パーク」に移築し記念セット場とした。詳しくはロケ地①「大長今テーマパーク」で。このエリアでは劇中たくさんの料理を作った台所「水刺間(スラッカン)」のセットが人気。
②宮殿エリアA
恋と陰謀が渦巻く宮殿エリアは、王の即位式、臣下の朝礼式、外国大使の接見など王の公式行事を行う政殿「仁政殿」のセットを中心に、大妃と王妃の住まい「報平殿」や尚宮の住まいとしてよく登場する「万慶殿」、そして庭園「内苑」などのセットがある。
(仁政殿)左:撮影用、右:実物
こうしたセットもドラマによって小道具を変えたり柱にシールを貼ったりして対応している。例えば「仁政殿」では新羅時代(7世紀)が舞台の「善徳女王」の即位式が行われたが、朝鮮第19代王・粛宗(17世紀)治世を舞台にした「トンイ」の参内式にも使われた。なんと10世紀もの時空を工夫で使いまわししているのだ。また、照明などを変えて中国(元)が舞台の「奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い-」にも対応。
左:撮影用、右:実物
左:柱にシール、右:照明一つで中国風にも
③宮殿エリアB
「奎章閣」
こちらは世子が暮らす「東宮殿」や王妃が暮らす「中宮殿」などのエリア。また図書館「奎章閣」もこのエリアにある。
「イ・サン」正祖(イソジン扮) (c)2007-8 MBC ここは、「イ・サン」 にも登場したが、学習及び政策研究機関の中心地としてイ・サン(第22代王・正祖)の改革政策を支える核心政治機関として発展した。
「イ・サン」の24話では、この場所でサン(イ・ソジン扮)がソンヨン(ハン・ジミン扮)に「自分といるときはもっと気楽にしてほしい」とお願いした。
「中宮殿」印象的な庭。意外と狭い。
一方、「トンイ」でオクチョンが毒を飲むシーン(55話は「中宮殿」の庭で撮影されたそうだが、広々とみえたこの場所も実際は思いのほか狭く、映像編集の凄さを実感した。
④市場・補盗庁エリア
「市場通り」写真は「オクニョ」「イ・サン」「トンイ」「オクニョ 運命の女(ひと)(原題:獄中花)」などの作品では、王様がお忍びでヒロインと市場で繰り出すシーンがあるが、こうした場面は全てこの市場通りで撮影された。8月現在NHKBSプレミアムで放送中の「100日の郎君様」(4話)でド・ギョンス(DO-EXO)扮するウォンドクが、高利貸し(子母銭家=チャボジョンガ)の詐欺にあったのもこの通りの布団屋の前。韓ドラ史劇には「本屋」もよく登場するが、「100日の郎君様」でもナム・ジヒョン扮するホンシムが本屋で服を着替えるシーンがある。そんな本屋の建物の隣で『子母銭家』という看板を発見した。
左:店内、右上:「100日の郎君様」の本屋店主にそっくりの看板、右下:高利貸しの看板
また、5話ではD.Oとナム・ジヒョンが揃って本屋にやって来るが、その本屋はここで撮影されたとのこと。
市場通りには飲食や宿泊もできる施設「酒幕」も。「オクニョ」ではここで秘密の会議も!
一方、「補盗庁」は朝鮮時代の警察署。「イサン」「チャクペ-相棒-」「太陽を抱く月」 など多くのドラマに登場する。「奇皇后」6話でスンニャン(ハ・ジウォン)が父キ・ジャオと会ったのもここ。横には罪人を収容する「獄舎」や刑罰用の器具もあった。
「補盗庁」股裂きやおしりペンペンの刑も
⑤両班の住居
「チェ・ウの屋敷」ここは両班(特権階級)の暮らしぶりが見られるエリア。朝鮮時代の伝統的な両班の住居だが、こちらも高麗時代を舞台とした「武神」で故キム・ジュヒョクが演じたキム・ジュンを奴隷の身分から解放し、自分の家臣として取り立てた権力者チェ・ウの屋敷としても使用された。
⑥寺
高麗時代の寺「無量寿殿」をモデルとして建てられた。色彩を押さえた重厚な作りで「九家の書」の「無形道館」の舞台。
「無量寿殿」左:撮影用、右:実物
ガンチ(イ・スンギ扮)とヨウル(ペ・スジ扮)がキスしたのもこの場所。また「善徳女王」でトンマン(イ・ヨウォン扮)が見晴らしの良い「安養楼」から都を眺めた。このエリアには一息つける「カフェ太陽を抱く月」もある。
⑦ミシル居住空間
「ミシルの居所」 画像:公式サイトより「ミシル宮」と「ミシルの住まい」があるエリア。「善徳女王」でコ・ヒョンジョンが空前の悪女ブームを作ったミシル用のセットとして造られた。撮影後は「武神」の撮影に使用されたが、さすがシール対応ではどうにもならなかったようで、新羅時代の建築様式を高麗時代のものに改築したそうだ。その後は「奇皇后」でワン・ユ『チュ・ジンモ扮』の住まいとしても使用された。また、このエリアには「トンイ」でトンイ(ハン・ヒョジュ扮)が司法機関の宮女生活をし、「馬医」ではここが王や王室の医療を担当する「内医院」として活用された。
⑧庶民のための医療施設
朝鮮時代の医薬と一般の庶民の治療を担当した官庁「恵民署」のエリア。「馬医」のセットとして造られた。ここでチョ・スンウ扮するクァンヒョンが獣医から内医院の医員になるために修業した。ここではキム・ナムギルが過去と現代をタイムスリップする「医心伝心~脈あり!恋あり?~(原題:名不虚伝)」も撮影された。
「恵民署」左:撮影用、右:「医心伝心」(マッケ役:ムン・ガヨン/ホ・イム役:キム・ナムギル)©STUDIO DRAGON CORPORATION
⑨演武場と典獄署
時代劇に欠かせない武術シーンを披露する「演武場」と「兵士宿所」、「オクニョ」のセット「典獄署」がある。「演武場」は馬を走らせる広さがある。
「善徳女王」33話~35話で比才(ピジェ)の最終選考(武術)、「武神」では5話~9話で、キム・ジュヒョク扮するキム・ジュンが、ウォラ(ホン・アルム扮)を助けるために命懸けで撃毬(キョック)大会に出場する。「不滅の恋人」の2話でユン・シユンとチュ・サンウクが撃毬の試合をしたのがもここだ。
「演武場」右上:「武神」
(C)MBC 2012 All Rights Reserved./右下:「善徳女王」(c) MBC 2009 All Rights Reserved.
一方、「典獄署」は円形獄舎。NHKで放送した当時、番組サイトにはドラマの中にいるような臨場感が体験できる360度動画と静止画が公開され、話題になった(2017年3月navicon記事)。ドラマでは典獄署の近くに秘密の地下牢があったが、ロケ地では少し離れた次の⑩のエリアにある。
「典獄署」右下の小窓から少女オクニョ(チョン・ダビン扮)が食事の配膳も。©MBC
⑩城郭と地下牢
都を守る防護壁として使用した「城郭」と「地下監獄」のエリア。朝鮮時代は都の四方を「城郭」を構えて囲み敵の攻撃から都を守った。その一つを再現している。ここではユン・ジュンサンがホン・ギルドン役で主演した「逆賊-民の英雄 ホン・ギルドン(原題:民を盗んだ盗賊)」でギルドンと仲間たちが官軍と戦った。
「城郭」右:「逆賊」ギルドンたちvs燕山君
この城門を通過するのは厳しい検査があり、これをかいくぐるために「逆賊」19話ではギルドンたちが女装し、「トンイ」27話ではトンイ(ハン・ヒョジュ扮)が男装する一幕も。「奇皇后-ふたつの愛 涙の誓い-」 では、ここで元の皇帝(チ・チャンウク扮)と高麗の王ワン・ユ(チュ・ジンモ)が男の戦いをした。また、パーク西端のこのエリアに隣接して山や森があり、広大な自然の中でも時代劇に欠かせない戦いの場面などが撮影された。
「地下監獄」地上セット。オクニョ(チン・セヨン扮)とテウォン(コ・ス扮)がお出迎え。
一方、「地下監獄」は「オクニョ」の秘密の地下牢として造られた。チョン・グァンリョル扮するパク・テスが投獄され、少女オクニョ(チン・セヨン扮)に獄中で武芸指南をした。
上:オクニョ(チョン・ダビン扮)、下:パク・テス(チョン・グァンリョル扮)
⑪武器・焼き物製作場
「華政」光海君『チャ・スンウォン扮) ©2015 MBC鉄砲を製作するために光海君が設置した官庁「火器都監」のエリア。チャ・スンウォンが光海君を熱演した「華政(ファジョン)」では、生き延びるために日本で男装していた貞明公主(イ・ヨニ扮)が、朝鮮に帰国してここで働くことになり、これがきっかけで異母兄の光海君と再会する。
「火器都監」右:「火の女神ジョンイ」師匠(ピョン・ヒボン扮)、ジョン(ムン・グニョン扮)
(C)MBC 2013 All Rights Reserved.一方、朝鮮初の女性宮廷陶工(ムン・グニョン扮)の物語「火の女神ジョンイ」でも、王室に納める陶器を焼き上げる場所として活用された。
⑫衣装体験室
「衣装体験」 画像:公式サイトより
「宮廷女官チャングムの誓い」「善徳女王」「トンイ」「イ・サン」「太陽を抱く月」の名シーンを背景に宮廷衣装を試着し、ドラマの主人公になれる体験コーナー。ドラマの主人公たちのパネルと一緒に撮影でき、撮影後は自分のカメラでも撮影できる。
人気のガイド、李(イ)さん。※筆者がパークを訪問したのは2019年6月30日。韓国では梅雨シーズンだったが、当日は晴天。KONESTの「龍仁大長今パーク(旧 MBCドラミア)ツアー」で、クチコミでも高い評価を得ていたイさんのガイド。広大なパーク内はツアーカーで回った。
車窓からお別れ!残念ながら今回は撮影現場に遭遇することはなかったが、イさんが別の日に、チョ・ジョンソクとユン・シユンが兄弟役で主演した新作「緑豆花(原題)」や、こちらも新作「ヘチ(原題)」の撮影現場に遭遇されたとのこと。
いかがでしたか?韓国時代劇のオープンセットの撮影場は他にもたくさんあります。【韓国時代劇撮影場・オープンセット】でまとめて紹介しているので参考にどうぞ。そして機会があれば訪問して、ドラマの世界に浸ってみてはいかがでしょうか?ただし、施設は休業、閉鎖されている場合もあるので、訪問される際には、最新情報の確認をお忘れなく。
▼住所:京畿道 龍仁市 処仁区白岩面 湧泉里778-1 /
(ヨンインシ チョイング ペガムミョン ヨンチョンリ778-1)
▼「龍仁大長今パーク」で撮影された主な作品一覧
◇「龍仁大長今パーク」HP(日本語)
【「ロケ地」関連記事】