「謗法~運命を変える方法~」は呪いがテーマの単純なドラマじゃない、離脱不能の骨太作品!Netflixでも配信配信

2022年03月14日00時00分ドラマ
©tvN

オム・ジウォン×ソン・ドンイルというベテラン俳優陣と、『パラサイト 半地下の家族』の若手女優チョン・ジソが出演するオカルト新感覚ドラマ「 謗法〜運命を変える方法〜」が3月18日よりNetflixで配信開始される。今回は、放送当時に韓国での評判やキャストなどを紹介していきたい。

「謗法〜運命を変える方法〜」は、相手の漢字名、写真、そしてその人の所持品さえあれば呪い殺すことができる謗法という能力を持つ少女と正義感あふれる社会部記者がIT大企業の後ろに隠された巨大な悪と対峙し戦う、新感覚ドラマだ。2020年2月〜3月に韓国tvNにて放送され、『新感染 ファイナル・エクスプレス』のヨン・サンホ監督が初のドラマ脚本を手がけ注目を集めた。



尚『新感染 ファイナル・エクスプレス』といえば「Kゾンビ」の先駆けともいえ、現在は「今、私たちの学校は…」「キングダム」『#生きている』など多くのゾンビを扱った作品が存在しており1つのジャンルとして確立されている。一方で呪術やエクソシズムといったようなオカルト系の作品は以前から存在していたものの、ここ何年かで複数のジャンルを融合させた作品がブームかのように多く誕生している。例えば司祭と霊媒師のコラボ、”エクソシズム””犯罪追撃””アクション”を融合させた「客:The Guest(原題)」や、メディカルエクソシジムドラマ「プリースト(原題)」など、単なるオカルト一辺倒の作品とは一線を画した作品だ。本作品も韓国ドラマ界に新ジャンルを切り開くきっかけとなった一作品と言えるだろう。ジャンル物はOCNの得意分野であるが、tvNでこのようなドラマが扱われたことも多少意外である。

このようなジャンル物を好まない人もいるだろう。しかし単にオカルトドラマだからといった理由だけで本作品をまだ見ていないのであれば、後悔するかもしれない。勿論、謗法によって命を落としてしまう描写は多少残酷であるため苦手な方もいるかもしれないが、それだけを前面に押し出したドラマではなく、大企業に隠された悪に挑むという韓国ドラマでも人気のジャンルが融合されており、かなり骨太な内容となっている。そのためこれまで呪いやオカルトといったジャンルだからと見ていなかった方は、是非ともチャレンジしていただきたい。
本作品が単なる呪いをテーマにした単純なドラマでないことは、公式サイトの企画意図からもわかる。一部抜粋してご紹介したい。

「-呪いはあなたの心から始まる-
このドラマは、人間が抱いている呪いの心を利用しようとする巨大悪と彼に対抗する者に対する話だ。 その中心に立った主人公、正義の実現のために真実を暴く記者と謗法師。
真っ直ぐな信念と行動だけで不正と戦って勝つことができると信じた新聞記者ジニは権力の横暴を前に無力感と憎悪心を同時に感じる。 そんなジニの前に呪いの能力を持った謗法師ソジンが登場し、普通の常識では到底理解できない事件を目の当たりにする…。
人類が現世に存在した以後、呪いは人間社会の暗くて深い部分に存在してきたが、人々は宗教・理念が違うという理由でお互いを嫌って憎悪してきた。
今や、クリックひとつで憎悪心を表出できる時代。オンラインとオフラインを行き来する除け者、悪口、嫌悪によって多くの人が消えない傷を受け、人生さえ諦めてしまう。 見えない暴力は私たちの理性では統制することはできない状況に置かれている。
本ドラマが私たちの暗鬱な現実を傍証すると同時に各自の暗い胸中をのぞく助けになることを願う。」


主人公の新聞記者イム・ジニ役を演じるのはオム・ジウォン。正義感に溢れた15年目のベテラン記者であり、国内最大IT企業フォレストの不正行為の記事化を試みる。しかし上司によって阻まれてしまうことから、自身の前に現れたソジンに謗法を依頼したことで、様々な事件が起こっていく。オム・ジウォンといえば「産後ケアセンター」「操作〜隠された〜真実」などに出演したベテラン女優であり、本作品内でもソジンを演じた若手女優チョン・ジソや、対立関係にあるソン・ドンイルとのケミも抜群。また彼女の夫役として出演しているのは「賢い医師生活」でもチョン・ギョンホ演じる胸部外科医キム・ジュンワンの良い部下を演じたチョン・ムンソン。本作品では刑事チョン・ソンジュン役として出演しており、この二人は夫婦でありながらも事件に関連する絶妙な関係を見せてくれ、このドキドキ感がより一層本作品への没入感を高めてくれる。このようにオム・ジウォンの演技だけでも様々な楽しみ方ができることだろう。

国内最大IT企業、フォレストの会長チン・ジョンヒョンを演じるのはソン・ドンイル。「応答せよ1994」などの応答せよシリーズで親しみやすい元気なお父さんを演じたかと思えば、「トラップ 最も残酷な愛」のようにハードな作品で刑事役を演じるなど、作品毎に様々な表情を見せてくれる。そんなソン・ドンイルが今回本作品で演じるのは国内最大IT企業、フォレストの会長であり、主人公イム・ジニと対立する役柄だ。「どんな役柄でも味わい深い演技を披露するソン・ドンイルだが、これまでとは違う、本当に悪霊に取り憑かれたような顔をしていて怖かった」「今回また新たな一面を見た」との評価が多く、是非とも注目していただきたい。

そして、謗法という呪いの能力を持った少女ペク・ソジンを演じる、ショートカットのボーイッシュな少女に見覚えはないだろうか?何とあの『パラサイト 半地下の家族』でパク社長(イ・ソンギュン)の娘ダヘ役を演じた女優チョン・ジソである。髪型が違うだけでもかなりイメージが変わって一瞬気付かなかったが、それだけ演技力も備えているということだろう。
韓国でもやはり同様の反応が多かったが、彼女なりに本作品出演の際にも、前作のイメージを消すようにかなり力を入れたという。本作品の台本を見てすぐにソジン役を気に入り、オーディション現場では監督にソジン役ができるならばノーメイクや断髪も全く問題ないとアピール、台本を読み込みソジンの役柄について熱く語ったという。こうして激しい競争を勝ち抜き最終合格した彼女はショートカット、真っ赤なフード、クールで無表情なソジンを完璧に演じ、前作『パラサイト 半地下の家族』のイメージを消し去った。
因みに彼女は子役出身だが、もともとはフィギュアスケート選手であったという意外な過去も。中学1年まで活動しており、とある大会にて金メダルを取るほどの実力の持ち主。そのおかげでデビュー作である2012年MBCドラマ「メイクイーン」のスケートシーンで出演することになり、そこから女優として活動するようになった。大きな転機はやはり『パラサイト 半地下の家族』。そして本作品で主役に抜擢ということで、一気に世間から注目を浴び女優として大きくステップアップした。

このように、出演陣は実力派揃いであるためどっぷり世界観にはまる人が多発。放送当時は初回視聴率2.5%からスタートしたものの、既存オカルトの枠組みから飛び出した、これまでの韓国ドラマにはなかったジャンルで話題を呼び、放送を重ねるごとに最高視聴率更新していく。最終回の12話でも6.7%と自己最高記録を記録して終了した。

尚、本作品の結末は「シーズン2を匂わせる」という声も多い余韻の残し方であったが、その後昨年7月に『謗法:在此矣 』として映画化されている。


リアルタイムで視聴していなかった視聴者も、みはじめたら止まらなくなり、最終話まで一気に見てしまったという声が多かった。これまでNetflixでは視聴できないことが残念という声も多く(韓国ではTVINGという配信動画サービスにて視聴可能)、それでも絶賛する視聴者が多かったのは、このドラマのクオリティの高さを物語っているだろう。今回3/18よりついにNetflixで視聴可能になるということで、この機会に本作品の魅力がより一層広まっていくことだろう。

■スタッフ
演出:キム・ヨンワン
脚本:ヨン・サンホ
原題:방법(パンボプ)
韓国放送:2020年2月10日~3月17日

■キャスト
イム・ジニ役:オム・ジウォン
ペク・ソジン役:チョン・ジソ
チン・ジョンヒョン役:ソン・ドンイル
チン・ギョン役:チョ・ミンス
チョン・ソンジュン役:チョン・ムソン
 その他

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