【第5章】「冬のソナタ」で輝いた女性たち|NHKと冬のソナタ

2009年09月20日00時00分ドラマ
2009年9月にNHKオンデマンドで「冬のソナタ」全話配信を記念した特集記事。※配信終了※

2002年韓国KBSで放送され、日本でも韓流ブームのきっかけとなった説明不要の伝説的ドラマ「冬のソナタ」と主演のペ・ヨンジュンの魅力を探る。

大人の女性たちがハマった「冬ソナ」
冬ソナNHKの吹替えは、字幕が苦手な方や、これまで海外ドラマをあまり視聴しなかった高齢者にも韓国ドラマを浸透させた。自らの意思表示をしなくなった80代の女性が、「冬ソナ」を何度も観るうちに涙を流し、意思を伝えるようになったという摩訶不思議な話も聞いた。

他にも、NHKが“土曜深夜枠”で放送した意義も大きかった。夜11時10分という枠については遅すぎるという指摘も多く寄せられたようだが、これまでこの時間帯は、お父さんがビール片手に観るスポーツ番組や、若者向けの音楽やバラエティ番組がほとんどだった。(母さんたちは、この時間にもアイロンをかけたり、片付け物をしたりしているんだぞ!)この時間帯に限ったことではない。民放を含めた多くのテレビ局は、これまで“大人の女性”向けの番組に多くの関心を払ってこなかったようだ。(NHKでは日中の時間帯に、女性向けの番組を放送しているけど、これについては「女性が輝くNHKオンデマンド」で紹介)

そこに、NHKが大人の女性のための純愛ドラマを投入してきた。夫や子供の世話に明け暮れる主婦(みんなそうだとは言わないが…)や、戦中・戦後に青春を迎え、メロウな恋さえ夢見ることができなかった当時の乙女たちが、これに飛びついたのは当然といえば当然。レンタルDVDやパソコンで好みのドラマを観るという主婦もいただろうが、欧米の海外ドラマは面白いが、きわどい場面や顔を背けたくなる惨いシーンが出てきたりする。このとき、タイミング良く(悪く?)家族の誰かが入ってくるとお互い気まずいことになる。(お母さんこんなの観てるの?って) その点、「冬ソナ」はキスシーンさえほとんどない。若い女性にはイライラする展開も、山口百恵の「赤シリーズ」や、吉永小百合の「日活青春モノ」の世代にはどうってことない。

ドラマから始まった韓流熱風
冬ソナこうして日本中に韓流熱風が吹き荒れた。妙齢の女性が韓流スターの情報を得るためパソコンを使いこなし、数万円もするDVDが飛ぶように売れ、レンタルショップには韓流コーナーが設置された。巷の韓国語教室は軒並み満員御礼、ドラマロケ地を求めて主婦たちが大挙して韓国に押し寄せた。ブームは、とうとうパチンコ業界まで飲み込んだ。当時、韓流ブームがもたらした経済効果は驚くほどの数字。日本放送出版が発刊した小説「冬のソナタ」は上下巻あわせて122万部(2004年7月時点だよ)、ビデオ・DVD・書籍を合わせた2003年~2004年度の売り上げは100億円近くあったとか。1本のドラマがここまで大きな社会現象を起こしたことがあっただろうか? こうなると、民放各局もこぞって韓国ドラマを放送した。NHKでも「チャングムの誓い」が大当たりした。

韓流ブームの終焉と韓流ジャンル
冬ソナしかし、ブームというものはせいぜい2、3年。2005年の後半には、韓流ブームも終焉を迎えた。しかし、韓流はしぶとかった。ブームは過ぎ去ったが、ドラマの中に韓流というジャンルをきちんと根付かせたのだ。



これには、世の男性たちも関係している。「冬ソナ」目当てにパチンコ初体験をした女性がいるように、「冬ソナ」に敵意? すら感じていた男性諸氏が、「ぱちんこ冬のソナタ」の大当たりで、あらすじや音楽を知って興味を示したのだ。(Ryuの「My Mempry」、♪ヨンウォニ~のだね) こういったことも一因してか、純愛一辺倒だった韓ドラは、歴史ドラマや専門職を描いたドラマ、社会派ドラマへと裾野を広げた。(ラブコメは「私の名前はキム・サムスン」、歴史モノは「朱蒙」「太王四神記」「女人天下」、職業モノは「白い巨塔」「ベートーベン・ウィルス」、社会派は「銭の戦争」「スポットライト」、大野智がリメイクしたサスペンス「魔王」も人気だ)

また、韓国でも金大中元大統領が推進した民主化が実を結び、日本のドラマや音楽に対しても本格的に門戸を開き始めた。これまでは日本の一方的なラブコールだったが、日韓両国の両思い状態が始まった。(今年8月に亡くなった金元大統領の「自動車を1台売るよりも、映画を1本売れ」というスローガンは有名) GACT・ガクトの妖しい魅力は韓国でも評判を呼び、2008年のジャニーズ嵐の韓国単独コンサートは大成功を収め、妻夫木聡は日韓合作映画「ノーボーイズ、ノークライ」でハ・ジョンウとダブル主演を果たした。日本の人気コミック「花より男子」は韓国でもリメイクされ、日韓で人気だ。(台湾版、日本版に続く「花男」第三F4の登場だ。日本版の主演はもちろん松本潤)

加熱しすぎる韓流ファンに眉をひそめる方も多いだろう。しかし、韓流によって輝きを取り戻した多くの女性がいること、何十人もの外交官でも果たせなかった日韓友好の関係を韓流が築いたことを忘れないで欲しい。

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