「ヘチ 王座への道」に登場する実在する三代の王:粛宗、景宗、英祖をサクッと紹介!

2021年03月08日22時43分ドラマ
©SBS

2021年3月現在、NHK総合にて放送中「ヘチ 王座への道」は、朝鮮王朝第19代王・粛宗、20代王・景宗、21代王・英祖の3代にわたる時代を描いているが、今回は3代の王を駆け足でご紹介!作品公式サイトおよびNHK番組サイトにPV、チョン・イルのコメント動画などが公開されている。



「ヘチ 王座への道」は、不遇の王子が王座に就くまでの友情と新年の物語。
※以下、【「ヘチ」を2倍楽しむ】で紹介した記事を簡単にまとめたもの。また本名ではなく王の名前で統一。演じた俳優やもっと詳しい人物紹介、「ヘチ」で描かれるキャラとの違いなどは「※もっと詳しく⇒」で解説している。

●歴代王は【朝鮮王朝系図】を参考にどうぞ。



まず、最初に紹介するのは名優キム・ガプスが演じた粛宗。ドラマドラマ「トンイ」「張禧嬪-チャン・ヒビン-」に登場する王だ。
ヘチ第19代王・粛宗(キム・ガプス扮)■朝鮮王朝第19代王・粛宗(生1661年~没1720年)
粛宗は18代王・顕宗の一人息子。母は明聖王后金氏。幼少期から優秀で1667年に王世子に冊封された後、14歳で即位しすぐに親政を取り45年を超え、長きにわたって王座にいた(在位1674年~1720年)。

「ヘチ」では、優しく子供想いの王として描いているが、実際には王権強化のためになかなか厳しい王だった。また、一つの党派が力を持ちすぎると、反対の党派の味方をし、常に主導権を王に置くという作戦を取り、その過程で権力を持つ臣下の娘などと婚姻したり、王妃を廃妃、側室を王妃に昇格させたりと女性たちで党派のかじ取りをした。粛宗によって劇的な人生を歩いたのが、景宗の母と英祖の母だ。

粛宗に対する評価も「王権を確立した強い王」「女性にだらしない好色漢」「ロマンチスト」「自由奔放」など、実にさまざま。だが、朝鮮時代唯一の法貨「常平通宝」が広く流通し、財政制度「大同法」や土地制度「量田事業」が完成したのも粛宗の治世中。自由奔放に見えた王の行動は、実は周りの状況を巧妙に利用した理性的な王の計算とみた方がいいのかもしれない。
※もっと詳しく⇒【粛宗】政権と王妃を取り換えた強気な王

景宗を演じたのは、韓国ドラマで多くの母役を演じているヤン・ヒギョンの息子ハン・スンヒョン。ドラマ「トンイ」でヒロインと敵対するチャン・オクチョンの息子、「張禧嬪-チャン・ヒビン-」ではヒロインの息子として登場。
ヘチ第20代王・景宗/世子ユン
 (ハン・スンヒョン扮)
■朝鮮王朝第20代王・景宗(生1688年~没1724年)
粛宗と側室・禧嬪張(張禧嬪)の間に生まれた第一子。側室の子にも拘わらず3歳で世子になったが、幼い頃より病弱だった。母は後に三大悪女と呼ばれた“張禧嬪=チャン・オクチョン”で、景宗が13、14歳の時に母が処刑され、非常に弱い立場にいた。景宗は生涯子宝に恵まれなかったが、一説には張氏が処刑されるときに、我が子と引き裂かれるときに局所を掴んだためとも言われている。

母の刑死後は父・粛宗からも冷遇され、粛宗は病弱な景宗にもしものことがあった時に備えて、英祖を世弟にして代理聴政をさせようと考えていた。反対勢力の猛反対にあい、英祖の世弟問題は決着をつけないまま粛宗が崩御したために、景宗が王位に就いた。(在位1720年~1724年)

わずか4年の在位だったために目立った政治的な実績のない王として、ドラマでメインに描かれることは少なく、悪女・張禧嬪の息子として描かれることが多い。
※もっと詳しく⇒【景宗】母の刑死を目撃した悲運の王

本作の主人公である英祖役を演じたのは韓服を粋に着こなすチョン・イル。「トンイ」ヒロインの息子、「イ・サン」主人公の祖父、「秘密の扉」主人公の父。
ヘチ第21代王・英祖/延礽君/クム
 (チョン・イル扮)
■朝鮮王朝第21代王・英祖(生1694年~没1776年)
粛宗と側室・淑嬪崔氏の間に生まれた2人目の子。1人目は病死。母・崔氏が身分が低いことで蔑視されたが、異母兄の景宗が王位に就くと世弟に。だが権力闘争が激しく反対勢力から何度も命を狙われた。粛宗の3番目の王妃・仁元王后金氏のお陰で命拾いし、その直後、景宗が急死し、景宗に子がいなかったために31歳で即位した。

王位に就いても生母の出自に対するコンプレックスと、景宗を暗殺したという噂に悩まされた。即位4年後には、李麟佐ら少論の過激派と南人派が昭顕世子の曾孫・密豊君(ミルプングン)をかついで反乱「李麟佐の乱」を起こすが、失敗に終わった。民に寄り添う庶民派の王で、党派の舵取りもこなし名君と称された。しかし、派閥の思惑で息子の思悼世子を疑い、米びつで死なせてしまった(詳しくはこちら)。83歳まで長生きし、在位期間は52年と歴代王の中で最長(1724年~1776年)。

粛宗は政権交代で王権を強化したが、英祖は「李麟佐の乱」も首謀者だけを処刑して、拷問や死刑執行にも慎重を期すなど、罪人の人権に対しても新しい考え方を示し、民衆の声をも聴こうと申聞鼓制度を復活させた。党派に偏らない人材登用「蕩平策」で党争を押さえ王権の強化に努め、他にも民の負担を軽減させる法や、庶子とその子孫も官吏として登用できるように改革もした。その結果、農業や商業も発展し民の暮しも豊かになり、次の王・正祖時代と共に朝鮮のルネッサンス期を築いた。
※もっと詳しく⇒【英祖】民に寄り添い愛された王



NHK「ヘチ 王座への道」番組サイト
 2021.02.14スタート 毎・日23:00-24:00 NHK総合
 2019.11.10-2020.05.03 毎・日21:00~22:00 NSプレミアム
作品公式サイト

kandoratop【作品詳細】【「ヘチ」を2倍楽しむ】